【書の鑑賞】紙の白と墨の黒、そして印影の朱④

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昔、ある書道の展覧会に行ったとき、

外国の方の作品の落款が青かったんです。

で、私はそれを見て、青という選択肢に驚いたんです。

私は消しゴムはんこなどを作成するのが好きなので

スタンプ台は茶色や青など色を使っていたのですが

書作品の落款で朱以外の色を使うことを疑問にすら思いませんでした。

ただ、個人的にはやはり朱い色の方が好きだなと思いましたので

カラフルな落款についてはチャレンジすることはないと思います。

印泥の色が赤であるのは、

もともとが血が使われていたからだとか、

赤という色が縁起が良かったからだとか諸説あります。

個人的にはその青い落款を観て

モノクロの世界に赤の色は想像以上に映える色なのだと感じましたし、

もしほかの色があったとしても、

現在までに淘汰されたんじゃないかと思うくらい朱の色はきれいです。

ところで朱肉の色は、一つではないことはご存じでしょうか。

有名なのは「光明」(こうみょう)、「美麗」(びれい)で、

あと「箭鏃」(せんぞく)というのもあります。

光明は、わりとハッキリした明るい朱色です。

美麗は、どちらかというと深い紅色という感じで、

箭鏃は少し黄色がかった朱色という感じの色です。

お好みですのでどれが良いとか悪いとかいうことではありませんが、

作品のイメージに合わせて選ぶと良いと思います。

また、印には「朱印(朱文)」と「白印(白文)」との二種類があります。

朱印は文字が朱く残るように周りを彫った印のことで、

白印は逆に文字を彫り白い文字として作った印のことです。

見た目でいうと白印の方が赤っぽいので妙ですよね笑

あ、そうそう。

それと、条幅作品の場合、印は基本3か所に押します。

作品の初めの部分と、

名前の後に二つの計3か所です。

作品のはじめのところに押す印は

「関防印」とか「引主印」と呼ばれます。

だいたい縁起の良い文字を彫っている長方形の印です。

名前の後に押す印は、名前の印です。

白印、朱印の順番に上下に押します。

白印の方には氏名または苗字、朱印の方には雅号を彫っている場合が多いと思います。

これは正方形が多いですが、楕円形や竹を切った形など

必ずしも正方形というわけではありません。

そういえば、昔の有名な書において

やたらと印を押しまくっているのがありますよね。

あれは蔵書印といって

今でも図書館の本の背表紙のあたりに図書館のハンコが押してあることがありますが

あれと同じようなものです。

「私が手にしました!」という一種のステータスのようなものでしょう。

今の本のように大量生産できないので

たった一つしかない宝物を自分はもつことができたのだ、という

ひとつの証拠としておしているものだと思われます。

いろいろ話しましたが落款って面白いですよね。

印を彫るのも楽しいです。

石は書道用品店へ行けば数百円で手に入りますし、

印刀がなければ昔使った彫刻刀で十分ですので

自分の印を作ってみるのはおすすめです。

無心になれますよ^^

>>続き『【書の鑑賞】4.線を引くということ①』