第1回愛媛県学生書道展(『習字』1954(昭和29)年3月号、4月号)

今年2月に開催された第69回愛媛県学生書道展も、

勿論記念すべき第1回の時がありました。

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こちらは『習字』昭和29年3月号です。

下にあるページの中段部分に、第1回愛媛県学生書道展の

募集要項に関する記事が掲載されています↓

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まず主催が愛媛県習字教育研究会だけでなく

今治市教育委員会も主催になっています。

この時点でまずビックリですよね。

そして、

作品は一人一部門一点じゃなくても良いという点も現在とは違います。

また、最高賞が知事賞ではなくて今治市長賞な所も違いますね。

ちなみにこれは第1回だけの特徴で、

第2回愛媛県学生書道展からは知事賞が創設されています。

ですので、第2回愛媛県学生書道展で知事賞を獲得した方が

初代知事賞獲得者、ということになります。

初代知事賞は、永らく書道の先生として教鞭をとられていた柴田先生です。

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そしてなにより私が驚いたのは、

締め切り日から展覧会の会期までに5日しかないっていうところです。

これは一体どういうことなのでしょうね!

今の展覧会でも我々中の人はいっぱいいっぱいで

部門ごとや年齢ごとに作品を分けて、先生方を集めて審査して、

作品1枚1枚に金銀銅の賞の札を貼ったり賞状を作ったり

名前の不備がないか確認をしたり賞状の印や賞品を集めたり展示レイアウトを決めたり

展示のための棒に貼りつけたりするだけでも

5日なんかでは全然足りないと思うのですよ。

これは、やはり人海戦術…しかないですよね。

昭和20年代はまだまだ戦後色が強い頃だったはずですから

思い切り芸術に情熱を注げる環境や、

無から有を作り出す楽しみのような希望のような気持ちが

あったのかもしれません。推測ですけど。

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そして案の定(?)翌月、

めっちゃ大変だったという主旨の記事が掲載されていました。

昭和29年4月号の結果記事がこちらです↓

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それでもやりきるあたり、本当にすごいと尊敬します。

これからしばらく、展覧会場は各地の学校を転々としていきます。

巡回展みたいな感じで、自分の近くに会場が来るというのも

ある意味良かったのかもしれないと思います。

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